第3回|絵コンテ・シナリオをチェックする
2021.01.23
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あなたがどこかの業者さんに動画を発注したとします。
大抵の場合、最初にシナリオもしくは絵コンテがあがってきます。
「シナリオあがりましたんでお読みください」
「絵コンテあがりましたんで見てください」
こういわれてあなたはどう感じますか?
シナリオを読む?コンテを確認する?
いったい何をどうしたらいいのーとなりはしませんか?
今回はそういうお話です。
1.シナリオと絵コンテはどこが違う?
動画づくりを皆で共有
シナリオとは動画の内容がテキストで書かれたものです。
絵コンテとはシナリオを場面ごとに分け、
「絵=画面のイメージ」が添えられたものです。
いずれも動画の内容をみんなで共有するためのもので、
演者はこれをみてセリフやナレーションの練習をしますし、
撮影スタッフは具体的な撮影プランを練っていきます。
「絵コンテください。」
ただしかし、シナリオには限界があります。
現実問題として、文字だけのシナリオを読んで、
画面をしっかりイメージできるのはプロだけです。
素人が内容を確認するなら、絵コンテの方がはるかに分かりやすい。
制作会社には、
「シナリオよりも絵コンテをください」と依頼すると良いでしょう。
2.絵コンテのチェックとはどういうこと?
ナレーションや画面イメージの確認
さてその絵コンテがあがってきたとして、
具体的に何をどうやって確認するの?
動画の内容を検討し精査するとはどういうこと?
絵コンテには、動画の場面ごとに、
「画面イメージ」と「セリフまたはナレーション」が
並べて書かれています。
クライアント様にやっていただきたいことは、
大きくは次の二点です。
- セリフまたはナレーションの内容を確認する
必要な説明がきちんとなされているか?
過不足はないか?誤解を招く表現はないか? - 画面イメージを確認する
必要なもの(見せたいもの)がちゃんと入っているか?
余計なもの(見せたくないもの)が入っていないか?
これだけで良いといわれるといかにも簡単そうです。
しかし実際には、特に1.の精査はなかなか難しいものです。
それはなぜか?
「セリフまたはナレーション」の確認には、
以下のような視点が必要だからです。
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3.専門用語の言いっぱなしはないか?
専門用語・業界用語に潜むリスク
仮に誰かが動画の中で「取引約定」と発言したとします。
この記事のように「文字」で見れば、誰でも何となく意味が分かりますが、
普通は動画の中でいきなり「とりひきやくじょう」と発音されて、
「取引約定」の文字が浮かばない人もたくさんいます。
ある用語が広く一般に使われていて、説明の必要がない言葉なのか、
それとも専門用語として説明を入れるべきなのか?
これは動画の目的やターゲットと照らした総合的な判断になります。
しかし一方でネットのキーワード検索などで
「どのくらい使われているか?」を数値で見ることも可能です。
プロが丁寧に作った動画なら、発音と同時に必ず画面下に
「取引約定(とりひきやくじょう)」とテロップを表示し、
必要があれば「株式取引などの売買が成立すること」といった解説を入れます。
それだけで視聴者の脱落は大きく減り、話の流れについて来れるようになります。
ケースによる使い分け
ですからここに大きなチェックポイントがあります。
「専門用語の言いっぱなしはないか?」
「専門用語が出てきたときにフォローがなされているか?」
ということです。
もちろん動画視聴ターゲットが業界関係者や専門家の場合、
逆に変な咀嚼は不要です。
普通に使うべき専門用語を使わないと信用度に疑問が生じ、
デメリットとなりかねません。
まあ、この点はターゲットの属性により、
上手に使い分けすることが必要です。
4.別の呼び方をしていないか?
語彙・表現は統一すべし
セリフまたはナレーションのチェックポイント、
もうひとつは「AをBと呼ばない」ということです。
つまり「固有名詞の統一」ということです。
企業情報の何をどう発信するのか?
情報発信のもっと手前の話、情報処理の話です。
情報処理の基本ルールは「分かりやすくする」ということです。
日本語では同じものを指す時に、複数の表現がある場合があります。
たとえば不動産業界の動画で考えてみましょう。
賃貸マンションについて解説する企業動画があります。
ナレーションも出演者Aも「賃貸マンション」という呼び方をしています。
しかし後から登場する出演者Bが何となく「収益物件」と呼んでしまった。
A・賃貸マンション B・収益物件
こういうことはよくあります。
「社内的には」それで問題なく通じるし、
通じるからこそ自覚がゼロになっています。
「同じことを表現を変えて言っているだけだな」と分かります。
しかし世の中は身内ばかりではありません。
「A=B」と理解できない人もいるのです。
理解できない人は、新たに「収益物件」という言葉が出てきた時点で少し混乱します。
「これまで賃貸マンションの話をしていたはずだが、収益物件とは何なのだろう?」
「賃貸マンションのことだろうか?それとも別の概念だろうか?」
こんなふうに「不用な迷い」が生じてしまうと、話の流れが見えなくなります。
5.「社内の常識」は「社会の常識」とは違う
身内感覚の動画は失敗する
お分かりでしょうか?
「企業内の常識」は必ずしも「社会の常識」と同じではないのです。
身内感覚で作られた企業動画が失敗するのは、
この「常識のズレ」に無自覚な場合があることです。
常識がズレた動画は、分かりにくくなります。
理解できる相手を狭めることになります。
テロップは解決策のひとつ
ではどうすれば良いのか?
答えは簡単です。伝えるべき内容を客観視して、
絵コンテのセリフの段階で、用語をしっかり統一することです。
大した理由もないのにわざわざ「AをBと呼ばない」ことです。
どうしても「収益物件」と言いたいのなら、テロップで簡単な説明を入れるか、
セリフで「収益物件、すなわち賃貸マンションのことですが」と
丁寧に説明し、「A=B」をはっきりさせてあげることです。
6.情報処理のリテラシーが重要
わかりやすい動画はわかりやすい文章から
これはどちらかといえば映像そのものというより、
「情報処理のリテラシー」の問題です。
たとえばメディアなどの解説文でも同じことで、
プロは日常的にこういう「情報処理」をしています。
その結果「分かりやすい文章」「分かりやすい動画」ができるのです。
絵コンテの「セリフまたはナレーション」については、
上記のような精査が必要です。
「AはAとだけ呼ぶ」「AをBと呼ばない」
「Bと呼ぶときは説明を入れる」
クライアント様にはそこを見ていただきたいし、
また私たちも注意深く精査します。
絵コンテは優れモノ
これに比べますと「2.画面イメージ確認」ははるかに容易です。
視覚的なことなので、誰でも見れば分かります。
「これをしっかり写したい」「これは見せたくない」を
クライアント様がしっかり判断くださればそれでOKです。
企業動画は「伝える」ことが目的ですから、
「伝わらない」ことは最大の失敗です。
それは企業の損失でしかありません。
その損失を未然に防ぐために、絵コンテの精査は必須なのです。
joe
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